1.デジタル完成図書とは
従来、船の完成時に引き渡される仕様書、計算書、機器一覧表、取扱説明書などの完成図書は紙またはPDFで納品されていました。
今回、これらの完成図書をデジタル化(PDF化)し、かつドキュメント内のキーワードと3DモデルのIDをリンクすることにより、仕様書や系統図といったドキュメントと3Dデータの相互の行き来が可能となりました。
これにより、3Dモデルのプロパティ情報から関連するドキュメントを閲覧したり、系統図のバルブ番号をクリックすることで対象の3Dモデルを表示することが可能となります。
したがって、完成図書の情報を就航後のメンテナンスや図面や対象機器の確認に効果的に利用することができます。
まさにDX化を推進する一つのツールとしてご利用いただけます。
2. おもな機能
(1)モデル機能
3Dデータのビューワー機能です。CADMATICの3Dモデルをお手持ちのブラウザーで表示、確認することができます。
マウスを使い、画面上で3Dモデルの拡大、縮小、回転の他、寸法計測、マークアップ機能を利用したコメント情報の付記等が可能です。
(2) Map 機能
GA(General Arrangement Plan)、MA(Machinery Arrangement Plan)、コンプロ(Construction Profile)等の平面図上の位置をクリックすると対応する3Dモデルの位置に視点が移動します。
図面を見ながら、対象となる3Dモデルの位置の確認が可能です。平面図ではイメージがつかみにくい機関室内の配置情報を3Dで確認することが可能です。
(3)Documents機能
造船所提供の完成図書(PDF)をブラウザ上で確認、閲覧が可能です。
また、図面を確認するだけでなく、図書内の機器名などをクリックすると、3Dモデル中の対象機器に移動し、周りの機器と合わせで配置位置の確認が可能です。
例えば、系統図を表示し、図中のバルブ・管・機器名をクリックすると、3Dモデル中の対象物に移動。逆に3Dモデルの属性から関連図書の部品名にリンクを設定する為、図書と3Dモデルを相互に行き来が可能となります。
メンテナンス履歴管理や簡易マニュアル、教育等に簡便に利用できます。
3.利用シーン
デジタル完成図書はWindows PCのブラウザーの他、Windowsタブレットでご利用いただけます。
タブレットを利用すれば船内へ持ち込み、図面を確認しながら機器のメンテナンス等を行うことが可能です。まさにデジタルツインのメリットを実現可能です。